Tuesday, July 15, 2008

ずっと乗っているはずだった電車

今日は、コルセットの採寸の後、新橋で以前勤めていた会社の1年先輩だった人と再会し、良い時間を過ごしました。

きっと、誰かに理屈で考えるなと言われそうですが、でも、今の自分はすぐには変えられないので、今の素直な自分で今日感じたことを書こうと思います。そして、これは今回の帰国で得た財産の、そしていつかこれを読み返すであろう自分の為の、覚書でもあります。

先週の木曜日から、ほぼ毎日、昔からの友人と一人ずつ会っています。その友人達とは全く違う時に、違う場所で、違う環境で出会いました。

5日目の今日、彼らと話をしたことで、自分の中のある変化に気づきました。友人達の私に対するコメントは本当にそれぞれ全く違います。なぜなら、 それぞれの友人と私との距離の違いであったり、年月であったり。でも、その違いの中で、私は何かを見つけたような気がします。多分、見つけたような気がす るのではなく、自分の今するべきことを確信したのです。

最寄り駅から、イソウロウ宅までの道のりを歩きながら、いつもとは違うことに気づきました。

視界がとてもはっきりしているのです。まるで、霧が晴れたかのように。霧というよりは、ジメジメした湿度がなくなり、物の輪郭がはっきりとわかる、まさにそういう感じなのです。そして、自分の足が地面に着き、そして離れる、その感覚をしっかりと把握できるのです。



駅にいる、
駅のベンチに腰を下ろし、
そこから見える風景を、ずっと見ている
いつからそこにいるのかわからない
でも、長い間そこにいる
何度も季節が変わり
今もそれをずっとながめてる

いつだったか、
たしかにわたしは電車に乗っていた
そとにみえた風景が、あまりにもきれいで
わたしは電車を降りた

いつからそこにいるのかわからない
でも、長い間そこにいる
何処に行くはずだったのか
思い出せずにいまもそこにいる

耳をすましていると
電車のやってくる音がする

長い間まっていた
ずっと電車がくるのをまっていた
乗ってみようか
今度こそ乗ってみようか

私は何処に行くはずだったのだろう
思い出せない
乗ってみようか

間違っていたらまた降りればいい
乗ってみようか
間違っていたら、歩いてここまで戻ればいい

乗ってみようか
今度こそ
乗ってみようか



あの電車は、私のいる駅に止まりました。そして、私はベンチから立ち上がりました。立ち上がったとたん、思い出したのです、自分が何処に行く予定だったかを。
後は電車に向かって歩くだけ、ただ乗るだけ。
なぜなら、その電車は確かに自分が降りた、あの電車だったから。ずっと乗っているはずだったあの電車だったから。

今日私は、この駅に何年も何年もずっと座っていたんだと理解しました。季節が変わる度に、いつかも見たなと感じてはいた。でも、なぜかを考えなかった。

今回の帰国で、私はずっと立ち止まっていたという事実を理解しました。何年も認めたくなかったこの事実を、大切な友人達に会い、彼らと話をしたことで理解するチャンスを得ました。今の私が見ている、その先に見えるものを手に入れるために、今度こそ電車に乗ろうと思います。

沢山時間がかかった分、十分に体は休まったはず。今見えているこの線路の先にあるものを、また見失うかも知れない。でも、今度は立ち止まらずに、地図を見ようと思う。今度この電車を降りるときは、それは乗り換えのとき。

とても心地よい、すごくいい匂いの風が、今の私にやさしく語りかけてくれました。途中下車も悪くない、でも、そろそろ電車に乗らないとね。

ありがとう、そしてこれからもよろしく。