Tuesday, September 9, 2008

女郎屋敷の君、憧れの君

先週、修理が出来るかどうかそして治るかどうか知るために修理屋さんに持ち込んだ、Asahi Pentax S2(前期型)。昨日回答の電話が来ました。

結構な歳なので、ファインダーを覗くと塵などが沢山で暗くて、哀しいことにフォーカスが合わない。そして、シャッタースピードが1/60以下はシャッター幕?が引っかかって動かなくなってしまう。(英語で言うのは簡単だけど、日本語で説明しようとすると難しいね。)

売られている価格を考えたら、きっと修理せずに買ったほうが安いのだと思う。でも、このアサヒちゃんを壊れたまま棚に座らせておくのも、捨てられてしまうのも、誰かのアサヒちゃんに移植されるのも、どれもなんだか哀しくて、寂しくて。半年ぐらい考えた結果。治すことした。

何万円もかけて治す理由、それは・・・あることがきっかけ。もちろん、家族のカメラであることも理由の一つ。でも、日本に帰国したときにマイミクさんの03miさんに連れて行ってもらった中古カメラ屋さんで見たカメラたちが大きな理由の一つ。

中古カメラ屋さんはなんだか、昔の女郎屋敷みたい。カメラ屋さんに治してもらって、綺麗にしてもらって、ガラス張りの戸棚に並ぶ。私達お客さんが 彼女達を品定めする。時々ガラス戸を開けて貰って、触ってみる、そして気に入らなければ棚に戻されて・・・・。時々新しい旦那さんがついて、買われていく 子もいて・・・。

なんだか複雑な気分になった。うちの子もそんな風になるかな?それも、難ありの”ジャンク”に分類されるんだ・・・治るのに。修理にお金のかかる この子を”ジャンク”で引き取る人は、きっとその人の大事な子の移植のためなんだろうな。うちの子だってまだまだ生きているのになぁ・・なんて思ったりし て。


日本帰国から約一ヶ月。やっと、気持ちの整理が出来て治すことにした。電話の相手は、露出計が付いてないせいか、修理代はCanonちゃんより安いだろうって。そして、この子が発売された頃の状態にとても近い状態まで治せるよって言われた。

まだまだ露出に手こずっている私には彼女は”憧れの君”、彼女の魅力を引き出せるのはまだまだ先だけどね。でも、彼女とはずっと仲良く過ごして生きたいな。

彼女が生まれたのは1962年ごろ。私よりも12歳も年上だ。彼女から習うことはどうやら沢山あるみたいだ。46年もの間、彼女はどんなものを見てきたんだろう?沢山の時代を生き抜いている彼女を生み出した職人さんに頭が下がる。

そして、私の父も彼らと同じように職人だということに気付き、なんだかすごいなぁって思う。作り出すものは違っても、職人さんが持っている心はい つも人の心に語りかける。私もそういう写真がいつか撮れたらと思う。それが、彼女みたいなオールドミスと一緒だったらどんなに素敵だろう。