ママとの8,9年振りの再会。
今のママの顔は都内で働いていた頃よりもずーっと活き活きとしていて、人生をとても楽しんでいる様でした。
「不倫やら、いろいろあったものね」
と、笑いながら昔のことを話せるママをとてもすごいなと思います。
人間として強いのだと思います。
不倫相手として二十年以上も本妻のように、あの人を支えてきたママ。
不倫とは言え、ママ自身の欲や願望、わたし達が当たり前のように求める幸せ、それらをすべてあきらめて、あの人に尽くしたママの人生のほとんど。
わたしには自分をそこまで押し殺してまで、いいえ、押し殺すことが出来るほど、人を愛したことはありません。どんなに真剣に誰かを好きになっても、わたしは自分や自分の人生を一番に考えてしまいます。不倫と言うことで、二人で映画を観に行くことも、食事に行くことも、旅行に行くことも出来ない。そんな状況であっても、その人と一緒にいることを望む。
家庭があるあの人。
家族の元に帰るあの人。
もし時代が違っていたら、ママとあの人は一緒になることがあったかもしれません。そして、ママにも息子や娘がいて、六十歳を過ぎた今ごろは、もしかしたら孫がいたかもしれません。
なんの約束も契約もないなかで、ママはあの人のためにそういったもの、すべてを投げ出して尽くした。ママはあの人を本当に心から愛していたのだと思います。
今日会ったママは、”後悔”というもののかけらさえも見えませんでした。ただやさしい笑みを浮かべて「今が人生の中で一番、落ち着いていて幸せなのかもしれない」と言いました。そのママの笑みからは、あの人を愛し愛し尽くしてもう満足した、そんな感じを受けました。
今は独り。
でも、あの人を精一杯愛し愛し尽くし、そしてあの人から卒業した今のママは、新しく始まった自分自身のためのこれからの人生を、あの頃と同じ様に一生懸命に生きている。こん愛もあるのだと、世間がなんと言おうとそれもまた、純粋な愛の形であるのだと、ママの笑顔を通して知りました。
ママに出会えてよかった。
ママには娘の様にかわいがって頂きました。とても感謝しています。
そして、これからもわたしの大切な”ママ”として元気でいてください。
これからもママの娘の一人として、よろしくおねがいします。