わたしには、時々、
押し寄せてくる感情をどうしても止められないことがある。
本当に、
自分がどうにかなってしまうのではないかと思うほどに
その感情が深いこともある。
その感情は、
たいていは哀しみなのだけれど。
それは本当に突然やってくる。
思わぬ不意打ちをくらう、そんな感じでいきなりやってくる。
もちろんそれを予知はできないし、その前触れなんて、全くない。
哀しみだからといって、泣けるような哀しみでもない。
その哀しみは、もっともっと奥深いところからやってくるもので、
涙なんかではコントロールできるものではないのだ。
なぜかそれだけは、よくわかる。
深い、深い奥底から哀しみが突然やってきて、
わたしは自分を見失ってしまう。
ほんの一瞬であることもあれば、二日三日と続くこともある。
ひどい時は一ヶ月ほど、それに呑まれてしまうこともある。
それはわたしだけに起こることなのだろうか。
それとも、すべての人にも同じように起こることなのだろうか。
どちらにせよ、わたしはその哀しみに呑まれることしかできない。
そんな時は決まって独りでお酒を飲みながら、
その深いところからきたわけのわからない哀しみの波が引くのを
静かに待つ。
何がそんなにわたしを哀しくさせるのか。
いくら考えても、どんなに考えても、
答えは、いつも、でない。
一体わたしはいつまで
この哀しみの波を受け止めていればいいのだろう。
もしかしたら、
わたしが、
わたしの存在が、ここから消えさるその日まで、
わたしのにおいが全く消えさるその日まで 、
つづくのかもしれない。